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加湿器を買った。質の良い睡眠が摂れるようになって快適。ついでに素敵な布や間接照明用のランプを買って、視覚的にも部屋の居心地がよくなった。また来るあの寒い冬に備えている。


2007年の秋にクイーンズ大学院のジャズ科のオーディションを受けに来て4年になる。あのときは、関西で少しずつ固まって来た生活スタイルをあきらめて、この年でまた新しい場所に引っ越すべきかどうか相当迷ったが、今振り返れば来てよかったと思う。

ニューヨークでは、いろんな人と働く機会がある。ピアノの仕事の幅が広く人数も多い。最近気づいたことは、相手がその分野に関して自分と同じかそれ以上の情熱をもっている芸達者なプロであれば、初対面の日から仕事がたのしくサクサク進むという法則だ。芸事に賭けるストイックさや生活の優先順位が同じで、互いにはじめから同じ目標に集中でき自然によい結果が出る。これまでニューヨークの業界で長く生活して来た人と同じ土俵で働いていると、なんというか、直感がどんどん鍛えられ研ぎ澄まされていく感じがする。

その人達の芸に一瞬触れただけで「なんかわからんけどかっこいい!」とピン!と感じる。瞬発力や集中力がモノをいう本番の一発の仕事だからか、気さくな普段の感じとステージの上のオーラの差がおもしろい。私の感性を活性化し、その人ともっとたくさん働きたいと思わせる。自分はどんなピアノを弾けばもっと良くなるだろう?と考え、調べ、練習することになる。

そんな人達と仕事したり、話したりセッションできる日常が、今はニューヨークに住む魅力だ。長く生活していくと足を掬われる事件は次々と起こるが、それらをうまく乗り越えたり事前に回避できるようになればいいな、と思う。アメリカでは景気が悪くなるとどんなにがんばっていてもあっさりとクビを切られ、誰もが不安定な生活に脅かされている。医療・保険制度も不条理でサイアクだ。外国人として生活していくのは大変だし、女性がニューヨークで競争の激しいこの業界でやっていくのもいろいろとメンドクサイことが多い。そのマイナス面をわかった上で覚悟して(=それらの不便を経験した上でまだ)ニューヨークに住んでいる。意外と今の年齢だから現実を受け入れて、ここでの生活を選び続けられているように思う。


クイーンズ大学院でお世話になったすばらしいトランペット兼アレンジャー兼大学教授でもあるMichael Mossmanに最近出したメールの最後に「日々、ニューヨーカーになってきた気分です」と書いたら、返事のついでに「もし君がそう感じるなら、君はもうニューヨーカーだよ」とあった。
学生の頃、師匠ケイ赤城さんにジャズをはじめたいと相談したところ「アメリカでジャズミュージシャンになりたければ、アメリカ人として生きる覚悟でなければまず無理だ」と言われたことをふと思い出し、すこし笑えた。