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余談だが、そのUCLAの先生の中に本業はハリウッドの映画音楽の制作をしている教授が居て、聴講させて頂いた(その授業ではハービーは映画「ラウンド・ミッドナイト」の秘話と使った曲のアレンジのプロセスを説明していた)後日、ビザを出してくれる音楽関係の仕事を紹介して頂いたのだが、残念ながらタイミングが合わずその話は実現しないで帰国することになった。

次に1人暮らしをしたのは東京。かなり探した。日芸や武蔵野音大の近くで目白通りから一本北に入った「ピアノ練習可」の物件が来月から空くと聞き、早速その近所を徘徊していると、静かな夜にものすごく上手な演奏のバッハの曲が外に響き渡っていた。「え〜、これってほんまに大丈夫なん?」。気が付いたらピンポンを押し自己紹介をしていた。東京芸大を卒業した後インディアナ大に留学していた苗字が同じの田中宏明さんとおっしゃるクラシック・ピアノの方が住んでいて、親切にも物置きだのトイレだのベランダだの家の中を全て見せて下さり、近所の事を色々教えて下さった。部屋に置いていたグランドピアノで曲も弾いて頂き、終電まで話が弾んだ。中野区のその家では、ベーシストをよんで家でリハができた。

今回、NYで正直ピアノはあきらめかけた。のだめちゃんみたいな良い話はテレビの中だけの話だ。いや、フランスは事情が違うのかもしれないが、現在不動産がイケイケのNYでは私の予算内ではあり得ない。

ところが。
NY最大の情報サイトcraigslistの部屋探しのページを目を皿のようにして毎日物件を探していると、ある日「良いコンディションのアップライトピアノ付きの部屋貸します」という広告をみつけ、早速連絡してその日のうちにそこへ行った。今のクイーンズ区の部屋と同じ家賃なだけにかなり狭いが、ピアニストが住んでいて夜中の2時頃でも練習しているという!彼女の電話番号も教えてくれた。夜の1人歩きも大丈夫な安全なエリアで、とても住み心地がよいとの事。ライブハウスが多いウエスト・ヴィレッジから電車1本で帰れる。そんな訳ですぐに手付け金を払って参りました。ちなみにグランドで練習したい時には私には練習場所がある。音大の頃から家ではアップライト、学校でグランドで練習というパターンには慣れている。


これから楽器をはじめるお子さまがいらっしゃる方へ。
引っ越しが楽で、演奏場への持ち運びが便利なフルートを選ばれるのがよいと思います。絶対に美人にみえるしね。

現在住んでいる部屋の半年リース契約が終わるので、8月にクイーンズからマンハッタン北端にあるワシントン・ハイツに引っ越す。ピアニストにとって、毎日ピアノが弾ける環境というのはとても大事だ。よくキーボードではダメなの?と聞かれるが、ダメです。タッチが違うので指の筋肉が正常に維持できないし、キーボードは倍音が鳴らないので、弾いた時の音の響きが違う。昔はもっと贅沢な悩みで、家にグランドピアノがほしかった。アップライトはハンマーが弦を横から打つが、グランドは下からなのでタッチが全然違う。音大生5%割引を使うこともなく、音大時代は学校で練習してしのいだ。NYで音楽学部に入った理由のひとつは、即日練習室が使える事。クイーンズ大には20室ほど良いグランドピアノを置いている部屋があるがスケジュールが定かでなく、せっかく遠くまで行ったのにあまり使えず時間を無駄にする日が多い。そんな訳で、ピアノが練習できる部屋を探すことにした。

が、私の予算で1人暮らしは絶対無理。1人暮らしをしようとすると家賃月10万は軽く超える。もちろんマンハッタン内は倍以上高い。で、平日昼間働いている人との同居物件を探していくうちに、良い話はいくつかあったが、階段で2階以上の所がほとんどだった。レンタルピアノ業者に聞くと、階段1段につき$5、2階はそれプラス特別料金$45が加算される。往復の費用と敷金、調律費も要る。そうこうしているうちに、新しいピアノを買うから安く譲ってくれるという話が来た。うん、とてもありがたい話だけども、家がまだみつからない。。。。

今まで一体どうして来たんやったかなあ、、、?
振り返ってみて、ちょっと自分のしてきた事が恐ろしくなった。

音大を出てすぐ大阪で1人暮らしをしていた時は、親友からカーツゥエルのキーボードを借りていた。当時坂本龍一やスティービー・ワンダーが使っていたのと同じモデルの高級なMIDIキーボード。しかしそのタッチでは物足りないので、どういう経緯か忘れたが、お世話になっていた安則雄馬先生・和子先生が所有する堺シティオペラの新しい練習スタジオ内にある、とても状態の良い新しいヤマハのグランドピアノで毎日練習させて頂いた。20代前半で恥ずかしいことですが、当時はスタジオ代が普通いくらかかるか、というよりスタジオ代という存在すら全く知らず、今から考えたら背筋がぞっとする。安則先生ご夫妻には大変お世話になり、私もそういう気持ちを常に忘れてはいけないと思っています。

その後カリフォルニアに住み、やはり学校の練習室を使った。夜は人がいなくて物騒なのでトイレには怖くて行けない。なのに、風邪で寝ていた日に同じ学校に通っていたベースのダントン・ボラーが突然うちに来て、あまりに良い曲が出来たからピアノで弾いてみてくれといって、夜12時頃毛布にくるまってに練習室へ行った事がある。ルームメイトにアンタ達はクレイジーだと呆れられた。モード系の奇麗な曲で、私のオリジナル曲「Shell」はそれに少し影響されている。その後ロングビーチ市からロスアンジェルス市に引っ越した。近くのUCLAの練習室が使えないかなあ、と思ってUCLA構内をウロウロしていると、私の大好きなハービー・ハンコックの特別講義が2週間くらい行われることを掲示板の告知で知った。私は学生でもないのにすべての講義に「聴講させてください」と頼み込んで間近でハービーの授業を聞いた。すばらしくあたたかい人でますますファンになった。そしてどうしても家にピアノがほしいと思い、大家さんに相談した所「お宅の階下は耳が不自由なご老人だからいいよ」と言われたので、すぐに近所の楽器屋で月$50でKAWAIのアップライトをレンタルした。(No.2へつづく)

「夏はどうするの?」とこっちの人達はよく聞く。
夏って。。梅雨もないのに、春が終わったら夏やのに、、長いやん。

学校関係者にとっては「夏休み」という意味の夏で、実家(世界各国、全米各州)へ帰る人が多い。ミュージシャンは、ツアーに行ってNYにいない人が多い。という訳で、私の周囲ではヨーロッパ、アジア、南米に散らばってツアーをやる人が多い。今日は日頃お世話になっていて日本に行く/帰ってツアーをする人を順に挙げたいと思います。おススメですので皆様のお近くに来た際には彼らのライブを要チェック!!

まずはピアノのデイビッド・バークマン。最近私はピアニストとドラマーの位置関係を大事に感じるようにしていますが、デイブのドラマーに対するリズム反応は目が離せません。ドラムが良いほどリズムセクションが面白くなるので、フロントも盛り上がる。モダンなタイプのピアニストで、ハーモニー的にも面白い。ヨーロッパやアジアの各地に拠点があってしょっちゅうツアーでNYを留守にしながら教育熱心&勉強熱心な人です。片言の日本語も話せるので、気さくに話しかけてみると楽しいと思います。

次にピアノの佐藤文子(さとうあやこ)ちゃん。彼女は同じ学校で唯一の日本人で、同じ時期にクイーンズに来た事、クラシックからジャズへの転向、遅い年齢でジャズを始めた事、偶然うちから10分の所に住んでいるという共通点があり、すぐ意気統合しました。私はLAでジャズを始めてケイ赤城を師匠と仰ぎ、その後すぐ日本でジャズを演奏して来たのに対して、彼女は日本で辛島文雄さんに師事して、その後すぐNYに来てニュースクールを卒業しこちらのミュージシャンや音楽事情にも詳しいので、情報交換もできます。女性ジャズミュージシャンには珍しくおっとりしたやさしい性格。音楽に関するセンスはズバ抜けてすばらしく、一旦ピアノに触れた瞬間に水を得た魚のようにアイディアがどんどん湧く、驚かされるピアニストです。彼女はNYのバンド「アノニマス・セブン」のメンバーを連れて関東を中心に新潟、仙台へ行っています。

次に、ついに高橋知道くんが完全帰国。彼の新曲は、それぞれとても内容が充実した素敵な曲です。特にここ半年くらいで元々上手かった演奏に「味」が出て来た感じがします。英会話も今はかなりスムーズで、1年弱でめっきり変わりましたねえ。最近知った意外な面は、ピアノでショパンが弾けること、PC入力が速い事、台所仕事が手際良い事。そんな彼は、春の一時帰国以来に自己のバンド「ブリング・ステーション」のライブをします。NYに来てたくさんジャムセッションへ行き、そういう場を関西にも提供したいという熱い思いから、神戸元町の萬屋宗兵衛でジャムセッションを始めるそうですよ。チャージは安いので学生も行きやすく、セッションホストにはべースの木村知之さんを迎えています。今より一段階上の演奏を自分の中から引き出してもらいたい人、今すぐスケジュール帳に書きましょう!若い人も若くない人(ん?あたし?)も、経験の多い人も少ない人も、自分磨きに行きましょう!!

最後に、トランペットの黒田卓也くん。あるドラマーが「He is
hilarious!![訳:極度に人を楽しませ、たくさんの笑いを捲き起こす]」と言うほど、国境も「面白い」の枠をも超える、ずば抜けたユーモアのセンスの持ち主です。リズム感とスピード感があるトークはどこか演奏とスタイルが似ています。関西出身の若手の中でも頼もしい長男的存在。彼を通してSan Juan Hillというアフロ/ファンク系のバンドに誘って頂いていますが、演奏の方も頼もしく、持ち前のhilariousさで場の空気を和ませながらやるべき所はぬかりなくバッチリ決めるし、フメンは読みやすいし、気遣いが上手で少ない時間でコミュニケーションがうまくとれる。その上音楽のセンスがいいのですから彼との仕事はいつでもハッピーです。そんな彼のプロジェクトのひとつ、ファンキーなバンド「Chicken Gravey」はこの夏もNYのメンバーでツアーします。また、併行してジャズのバンドのプロジェクトも始動していて、今後はこちらも楽しみです。

、、、なんか、えらい褒めすぎやなあ。
でもほんまにそう思ってるんです、おススメです。
この夏は、NYが皆さんの地元へ行くのでお聴き逃しなく!!