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1/14(火) 「TAKE FIVE」たなかかつこカルテット

河村英樹(テナーサックス)
たなかかつこ(ピアノ)
萬恭隆(べース)
竹田達彦(ドラム)
7時半から1st set / 9時から2nd set
チャージ4000円(1ドリンク付き)

今回ライブをするのはこの1件だけですのでぜひお越しください!
場所は大阪市浪速区敷津東3-5-15 KSプラザ2F(06-6648-1139)


今日は仕事納め。
午前はブルックリンのゴスペル教会、午後はブルックリンのロシア教会でした。久々に雨が降っていて、ニューヨークジャズ界のミュージシャン仲間の哀しい気持ちを表しているようでした。

12/25, 26日と、元気にPeter BernsteinのバンドでSmallsで演奏していたベースのDwayne Burnoが、昨日亡くなったということです。まだたったの43才なのに。すばらしいベーシスト、ジャズミュージシャンであるだけでなく、家庭人としても素晴らしかった。残されたご家族にお悔やみとご冥福をお祈り申し上げます。
私はたった6年間のニューヨーク生活でDwayneと一緒に仕事をしたり、いろんな話ができて本当にうれしかった。ビザがうまくいったら次の3年はDwayneとWillie Jones IIIでもっとブッキングし、CDレコーディングをする話をしていた。「また今度」はない。今日が最後の演奏になるかもしれない。


さようなら、Dwayne Burno。_a0094202_14562728.jpg


とりあえずは明日の朝飛行機に乗って2年ぶりに家に帰ろう。
皆様よいお年を。



# by katsukotanaka | 2013-12-30 14:58
メリークリスマス!!

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今月は、イースト・ハーレムで8-14才を対象にジャズワークショップをしました。

ワークショップだからといってTake The A Trainなどのわかりやすいスタンダード曲ではなく、1曲目から自分のオリジナル曲「Stretching」をガツンと演奏。「私の曲です」とMCで言うと、拍手大喝采でした(こういう反応はジャズクラブにはなく意外)。つかみはOK。
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あとは、インプロヴィゼーションについての説明とブルースやリズムチェンジ、クリスマスソングで模範演奏。90分のワークショップは子供にとって長過ぎるので、ランダムに質問形式にして生徒を巻き込みながら。
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Q&Aコーナーもとても盛り上がりました。意外なのは地域性かドラムが子供達の一番人気の楽器でした。
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先月、ZINC BARで一緒に演奏した若手グループで仕事しました。普段とちがうタイプの仕事がとてもうまくいったことで、一段と信頼関係が強まっているのを感じました。
Stacy Dillard on Saxophone.
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Eric Wheeler on Bass.
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Russell Carter on Drums.
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またこのメンバーで仕事したいな。

毎週2-3軒のちがう教会へ仕事に行っています。ゴスペル音楽も地域別の文化も、とても勉強になります。
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1月は帰国しています。テナーサックスに河村英樹くん、ベースに萬恭隆くんを迎え、1/14(火)に大阪難波のカフェTAKE FIVEでライブをする予定です。日程がわかり次第ご報告しますのでぜひぜひ聴きに来てください。よろしくお願いします。
TAKE FIVE
大阪市浪速区敷津東3-5-15 KSプラザ2F
06-6648-1139

メリークリスマス!!
# by katsukotanaka | 2013-12-25 15:54 | ★NYでのライブ
今日は久しぶりにお休みだ!!厳密に言うと今日の演奏仕事を取り損ねた。ここ数週間、誰かレギュラーピアニストのサブ(代理)の仕事が連続で入っていて休みがなく、慣れない仕事の連続で生活のバランスを崩していたので、本日は料理もしない日にしよう!ときめてタイ料理とレッドベルベットケーキをテイクアウトしブログを更新中。

11/13(水)は若手ミュージシャンを集めて自分のカルテットでオリジナルや日本の曲をアレンジして演奏した。
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毎回、自分のリーダーバンドの時には3分の1くらいあたらしい音楽内容を持って行ってサウンドを試すようにしている。自分が飽きるからだ。でもあたらしいものばかりやり過ぎても今度は余裕がなくなりストレスになる。関西時代に何度もリーダーバンドをやっていくうちに、その辺のバランスはわかってきたように思う。その時々で自分の興味もシフトする。日本に住んでいたときはニューヨークに住むことにあこがれていたので、ニューヨークらしいサウンドの曲を創っていた。この夏に作った曲はとても単純なコード進行のもので、最近仕事でよく行くゴスペル教会音楽の影響を受けている。日本に住んでいた頃はそういう曲にインスピレーションやスピリジュアリズムをさっぱり感じず接点がなかった。人のバンドで弾く機会はあってもいまいちピンと来ない音楽だった。ブルースもそうだ。いつも私のブルース演奏はなんだか噓くさいと思っていた。今はそういうコンプレックスはない。ブルースとジャズに関してはロイさま(ロイ・ハーグロヴ)とのセッションから得た体験が(良かったことも悪かったことも)今は骨身に染み渡っている。


話は戻るが、10月はPCの前に張り付いて200枚を超えるアーティストビザの書類作りをした。自分自身がアーティストなのに、仕事から帰ると毎日書類作成で練習する時間がない。本末転倒。はやく音楽に浸りたくてうずうずしていた。
書類を弁護士事務所に出した日、ご褒美にJimmy Heath Big Bandをブルーノートに観に行き、久々に音楽の素晴らしさを聴衆になって満喫してきた。(写真はクイーンズ・カレッジ大学院恩師のMichael Mossman[マイク・モスマン]から拝借。本番中にリードトランペットの席からよくそんなことする余裕あるな〜。)
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Jimmy HeathのビッグバンドではLewis Nashがドラムだったが、アレンジを詳細に把握してショーを構成しているように感じた。管楽器のソロも、バックグラウンドがソロの最後のコーラスでどういうことを演奏するのかアイディアを予知したソロだと次へのつながりの盛り上がり効果が高かった。ビッグバンドではメンバー1人1人がそうして音楽の全体像を把握していると元々の音楽のもつエネルギーがかなり増幅されるように感じた。まるでクラシック音楽の交響曲のよう。テーマで1つのモチーフを膨らませたり複数の別のアイディアが出て来て交差したり、ソロの箇所はインプロビゼーションで、シャウトコーラスやエンディングは交響曲の最後の方ははじめのテーマで使ったアイディアをまた引っぱり出してきて全楽器を使って壮大に終わるイメージと重なる。ベートーヴェンの曲にはベートーヴェンのカラーがあるように、ジミー・ヒースのアレンジ&作曲にはすべてジミー・ヒース色が濃く溢れていてステキだった。簡潔に言うと知的でグルーブしててユーモラス。とてもたのしいライブ鑑賞の日でした。


With Stacy Dillard, Eric Wheeler and Russell Carterライブレポートほか_a0094202_14252028.jpgGene Jacksonが日本からブルックリンに戻っていて彼の家でのセッションに誘ってくれた。無駄話もなく1曲終わるとすぐ次へとどんどん時間内に曲をすすめていき、あっと言う間に時間が過ぎ去った。ベースは緊急手術したDwayne Burnoのピンチヒッターで8月にキタノで演奏してくれたGeorge DeLancyくんを誘った。ウィスコンシン州出身の骨太ベーシストだ。昔、Herbie Hancockのピアノトリオでジーンがドラムをたたいているライブ版(海賊版)の録音を友達にもらったことがあり、そのHerbieの「I Love You」のアレンジをよく関西のリーダーライブで演奏していたのでそのフメンを持って行った。もちろんジーンはどのようにたたいたかなんて忘れてるはずだが、やはり録音で何度も聴いていたジーンと同じだった。最近何度か共演していている信頼感もあって、奇妙なことに「こんなこと弾いたことないのになア」と思うことがスルスルと出て来た。


ミッドタウンでピアノトリオの仕事でベースのDwayne Burnoと1年ぶりに一緒に演奏したときにも、まさにそう感じた。思いがけないことが「弾けて」しまい自分の音楽が内側から自然に引き出される。Dwayneとは去年キタノでWillie Jones IIIと演奏したときにもそれとまったく同じことが起こった。演奏中に心から「笑みがこぼれる」というのを体感した。ハーモニーもグルーヴもちょっと一線ちがう。本人のセンスや練習ももちろんあると思うし、音楽をとてもよく知っている。レコーディングをよく聴いていてそれを細かく覚えている上に自分の解釈でハーモニーのアレンジができる。
あの年代のミュージシャン(ロイ、アントニオ・ハート、ウィリー・ジョーンズ・III)に共通して言えることは、フメンをみない。フメンを渡すと「I don't need a chart. 」と、こんな有名な曲をフメンみないと俺が演奏できないなんて思わないでくれ!!という勢いでピシーっっ!!と言われると、友達だったり親しくてもとてもコワいです。DwayneもWillieも、私のオリジナル曲を1回テーマを演奏して1コーラスソロをやったら2回目からもう譜面はほとんど見ず3回目は見ていない。そうじゃないとダメだと昔ロイ様に言われたことがあるが、そんなことは現実的には無理だと思っていた。だが実際にこうして共演者が実行しているのを見て、それは努力すればできることで、巨匠に鍛えられてきたベテランの年代にとっては当たり前のことなのだと知った。
Dwayneとのギグはあっと言う間に終わってしまった。3セットしかなかったが最後の曲のときに「ああもうこれで終わりなのかあ...」と、4セット目もやりたいくらいだった。やはりあれくらい音楽を上から下から表から裏から自由自在に演奏できると、周囲のみんなをたのしくするのだなあととても勉強になって、ギャラももらって帰った。そういえば昔ロイさまが「誰にでも、そのバンドの音楽の方向性をガラっと変える力がある。1人1人に同じだけの力が(ロイさまだけではなく皆にも)ある」とシラフな真顔で言われたことがある。もう1つ、あの人達は自分の楽器の特性をよく知っていて楽器の演奏が上手い。それに「気付いて」はじめて最近、クラシック音楽をずっと勉強してきたことを貴重に思う。今もショパンのエチュードを5-6曲はウォームアップで弾くようにしている。


ドゥエインとの仕事の翌朝は、最近サブで行っているコンテンポラリー・ゴスペルのクワイヤーの伴奏の仕事だった。夜遅く終わる仕事がエキサイティングすぎるのと、翌朝の仕事に間にあうように早く起きれるか心配で寝付けない、という典型パターンだ。音楽がかわる頭の切り替えもいる。
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このクワイヤーは素人の集まりなのにかなりレベルが高い。今までいろんな伴奏をしてきたが、ジュリアードに入れる子達よりもずっと音楽を覚える能力とほかの声部をきいてアンサンブルできる能力が高いしやる気も本気だ。コーラスの各声部を分析していくとまるでバッハの音楽だ。なぜsus7やMaj6, m7(b5)やdim7といった昨今ジャズでよく使うコードがでてきたのか、3声を分析して漸くその根本が心からわかった。ここはお金がないのでバンドではなくキーボード1本なのが残念だが、逆にキーボード1本でバンドの曲をどのように弾けるかという課題がある。ハモンドオルガンのサウンドも出せて便利だ。過去のリハーサル録音では、あまりにすばらしいピアニストがピアノ1本で伴奏しているのでクワイヤーのディレクターに一体誰か尋ねてみたらGreg Stamperという作曲者本人だった。なるほどー、こういう風にやるのか!と、いろいろ勉強になってたのしく演奏してきて、ギャラももらって帰った。そして今朝そのGreg Stamperさんから彼の教会で明日彼のサブでピアノを弾いてくれないか、と電話があった!ディレクターの推薦だったらしい。しかし残念ながら明日はすでに別の教会でのゴスペル演奏の仕事が決まっていた。とても残念だけど次回があることを期待しよう。


そんなワケで最近ゴスペル音楽のハーモニーがとても気に入って、それ風な曲を書いた。子供の頃親に連れられて教会に「行かされていた」アメリカ人のジャズメンにとっては「それが何か?」かもしれないが、日本人の私にとってはとても新鮮でワクワクしている。
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それともう1つは、日本の曲を少しアレンジしてバンドで演奏した。それにはどうしてもStacy Dillardのソプラノサックスが必要だった。大体が思い通りのサウンドになって次回の案も浮かんだ。日本の曲は日本人には単純かもしれないが、アメリカ人のジャズメンにとってはとても新鮮でワクワクするらしい。
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伴奏の仕事に行ったり、フルートの佐伯まゆちゃんの仕事に誘ってもらったり、それぞれ前向きな人達と関われるのも爽やかな時間だ。帰るとひたすらやりたい曲をメンバーにやってもらうためにフィナーレ(ソフトウェア)で各パート用の譜面を作る。演奏者が1、2回読めば覚えられるような完成度の高い譜面を作成するためには、どうすれば最もわかりやすいのかいつも考える。


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10月1週目は夏日のぶり返しもありましたが、アパートの前のプロスペクト公園の樹々はここ2、3日で黄金色に色づいてきました。もうすぐ切れるO-1Bビザ(通称アーティストビザ)を再申請することにしました。


そして、来月11月13日(水)にZinc Barで若手バージョンの方のリーダーバンドを。

KATSUKO TANAKA QUARTET @ZINC BAR
with
STACY DILLARD (saxophones)
RUSSELL CARTER (drums)
TBA (bass)
7-9PM (1 Show only)  $10 at the Door

8月にウィリー(ウィリー・ジョーンズIII)とギグをやったときに、Cedar Waltonの曲を自分流にやってみてCedarのバンドのレギュラードラムだったウィリーがシーダーのときとはちがうアプローチで一緒に音楽を創ってくれたときに「私のやり方でまちがってないな」という感じがしたので、次の段階の創作活動をしていきたいと思っています。別にウィリー本人にきいたわけではないですが、あのクラスのニューヨークのベテランミュージシャン達は、共演者が曲の本質をきちんと勉強して理解せずに勝手に自分色で演奏して盛り上がっていると、音楽がまちがった方向にこれ以上行くのを防ぐかのように何も反応せず超シンプルに音楽をキープするだけなんです。そういうときベテラン勢のこわーい空気が流れてます。
そりゃそうですね。クラシックでも「僕はこういう感性だから」とその作曲家のスタイルや西洋音楽の歴史を知りもせずに勝手で自己中な解釈やテンポで演奏する生徒がたまにいますが、音楽がぜんぜん流れていないので、クラシックを勉強してきた人には1分もきかないうちに勉強不足が見抜けます。

最近O-1Bを取るのがきびしくなってきたようですが、気を引き締めて書類作成することにします。自営業で働きながらその合間に膨大な自分の資料を作成しており遅々としてなかなか進みません。
推薦状と契約書を集めるには、たくさんのミュージシャンにまず説明して依頼して、そして会う予約を取らないといけない。夏は多くの人がツアーに出ていて始動できず、秋もNYCに出たりはいったりなので、何曜日の何時であろうが会えるときに予約をとって駆けつけなければいけません。良いこともあります。忙しい中ここ2週間でいろんな人に会えて、最近の仕事やプライベートの話をしているうちに、ビザがおりたらこの先3年どうしていきたいかが明確になってきた感じです。演奏で一緒になってもゆっくり個人的に話をする時間はあまりないので貴重な面会です。

9〜10月はコンテンポラリー・ゴスペルの仕事が何度かありました。長年勉強していたいと思っていた分野の音楽だったのでたくさん曲の予習をしているうちにあっ!!という間に時間は経っていきます。ゴスペルオルガンのハーモニーを研究しているとジャズのルーツ(コードのextension, suspension, alterationなどの由来)がよくわかり目から(耳から?)鱗です。ボーカルパートの対位法によってオルガンの役割もきまっていく。まるでバッハの音楽のようです。まあ、そこまでは複雑ではないかなあ。
あとは風邪ひかないように注意しようと思います。ニューヨークに来てから、気温がはげしくかわって部屋にヒーターがはいったり入らなかったりする10月は去年以外毎年風邪ひいてましたから。

みなさんもお気をつけて。
キタノに来て下さったみなさん、ありがとうございました。

今年も去年に続き、またまたベースのメンバー交替のハプニングが。

去年は、ギグの2週間前にべーシストから当日演奏できないという連絡があり、その連絡の数日前にドゥエイン・バーノに会ってたまたまいろいろ話をしていたので、その日空いていた彼が演奏してくれることに。

今年は、はじめからドゥエイン・バーノにお願いしていて、ウィリージョーンズとのトリオで演奏する予定だったが、本番の前日、午後1時過ぎにキャンセルの電話が。その日は午後4時半からリハーサルをすることになっていてミッドタウンのスタジオを予約していた。リハの前に私は仕事があり家を出て地下鉄を待っていたらドゥエインから電話が。今日の確認かな〜、と思って出たら緊急のドクターストップで明日のギグができない、というところだけを聞けて、電波が届かなくなった。

え?
じゃあ、明日のベースは探したらみつかるとしても、今日の4時半にリハに来れる人はいるかな。
と、地下鉄の中で考え、ブルックリン橋を渡るために地上に出た2分くらいの隙に、リハに来れなくても本番でオリジナル曲を弾けそうな一緒にやったことがあるベーシストにメッセージを残す。

地下鉄を降りたら2時からの演奏の仕事、目的地の駅から5分くらいで仕事場に着いたらそのあとはもう誰とも電話連絡ができない。仕事がおわったら4時半にスタジオに着くまでのギリギリの時間。でもベースなしでスタジオはいっても仕方ないしなあ。
、、、と思いつつ、駅から仕事場まであるいて5分の間にもう1度ドゥエインに電話して何があったのか状況を確認。前日のMRIの結果がわるく緊急手術の準備をするよう言われたとの事。「ベースは誰か見つけるから大丈夫、体をお大事に!」と言い切った、だけど、さて、私はどうしようか、、、今日のリハはキャンセルして明日はオリジナル曲も演奏しない、か、、、?でもそれではせっかくチャージ払って観に来てくれる人達に申し訳ない。。。。ベースはかわりが効くがドゥエインの体は1つしかない。家族も居るし、体が効かない間は仕事もできずもちろん労災なんてないし、医療費は高いし。体がつらいだけでも不安なはず。

仕事場に着いたら、2時からときいていた仕事は2時半からだった。あと30分電話できる。
で、ほかの人にも電話しているとはじめに断った上でさらに何人かオリジナルを一緒にやったベースに電話したけども留守電でつかまらない。ツアーに行っててNYCに居ない可能性もかなり高い。仕方なくドラムのウィリーに相談したらリハーサルにも確実に来れる人を探してきてくれた。若手でRodney Whitaker風のサウンドとswing感の良いベーシスト、George DeLancyという人だそうだ。もう2時半の仕事がはじまるまであと3分しかなく、ほかの人の連絡を待てないし、じゃあ、全然私は演奏も聴いたことのないその人にお願いします!とたのんだ。
あとで以前に一緒にオリジナル曲を演奏しているココラン・ホルトとダントン・ボラーから空いててギグができると仕事中に留守電をもらったがもう遅かった。依頼して2時間以内に返事をもらったにも関わらず残念だし申し訳ない。前はここで申し訳なさといろいろ考え過ぎてなかなか気持ちを前へ進められなかったが、すぐに電話でコミュニケーションをとってさっぱりできた。突然の選択が吉とでるか凶とでるかわからないけども終わったことはもうスッキリと気にせず、きめた道を突き進むことにした。まるでimprovisationのようです。

4時半にリハに行くと、初対面のGeorge君が時間までにそこに着いて居た。どの曲をやっても初見がはやく、まちがわない。私のこともウィリーのこともよく見ていて信頼できる。ハーモニーのセンスがあって曲の把握もはやく、今回トリビュート的な意味を込めてやりたいと思っていたKenny KirklandやMulgrew Miller, Cedar Waltonのちょっと難し目の曲やWayne Shorterの曲、オリジナル曲を、1時間半のリハでひと通り確認できた。全部で20曲くらいライブでやった中、スタンダードはリハも楽譜もいらない。あしたのギグではどうなんだろう?なんだか、日常生活自体がimprovisationのようだ。そう思ってリハを終えて家に帰る。友達から電話があり明日のギグの準備をきかれた。こうこうでベースがかわって、、、え、誰になったの、、、、という話になる。ああ、こうして、今日のGeorgeの演奏や人柄の良い評判はほかのミュージシャン達にその日のうちに広がっていくねんなあ、、。

若手のGeorgeとウィリーとでは先輩後輩の関係で、スタジオやオフ・ステージでは明らかにある種の緊張感が双方にある。しかしGeorgeはどんなギリギリの要求や緊張感の下でもstage上ではそんなものはまったくものとせず、むしろチャレンジに挑戦することがたのしみかのように水を得た魚のような110%の演奏でライブでも期待を裏切らない。ベースラインは信頼できるし音は太いし、ウィリーとぴったりgrooveの波長が合ってる。曲やライブの進行もよく見ていてきめゴトも忘れない。そして与えられた場面ではどの曲も自分らしい解釈で挑戦的なソロをとっていた。曲の把握がはやい。伴奏しながらそんな彼の演奏を頼もしく見ていた。でも余計なことは弾かない。人間的にもそういう人という印象を受けた。めぐってきた僅かなチャンスを逃さずにつかみ精一杯自分の演奏を披露してモノにする。こういう人が10年後20年後にベテランとしてこの世界に残って行くのだろう。

ウィリーには彼がかつてレギュラードラムを務めていたCedar WaltonやHank Jonesのライブによく招待してもらった。今回のライブで私はCedarの数々名曲からセッションではあまり演奏されないHindsightとClockwiseの2曲を選んだ。Cedarのピアノスタイルに敬意を表しつつ完全なる自分の解釈で演奏した。Cedarが亡くなるまで4年も彼のバンドに居たウィリーがCedarにはやらなさそうなドラムを私に自然に付けてくれたので「よし、これでいいんやな」と感じた。
あたらしく書いたオリジナル曲はリハができたお陰でサクセスフルだった。この2人にしっかりボトム(低音部&リズム)を支えられて私も110%のエネルギーでとてもたのしく自由に演奏してきました。いろんなことが勉強になりまた次の課題がクリアにみえてきて、とても充実した気持ちです。

ライブに来てくださった皆さん。本当にありがとうございました!!



Trio with George DeLancy and Willie Jones III_a0094202_655474.jpg