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芸術の街


タックス・リターン(確定申告)がおわった。これがおわるともう春が来る。
明日から夏時間になり、予報によると来週からは0℃以上の日が突然増える。


最近クラシックピアノを弾く機会がある。
ロシアから客員で来ている先生の指導の下でプロのダンスカンパニーで踊っているダンサーのレッスンでピアノを弾いている。ニューヨークには世界中から一流を目指すアーティストが集まり、毎日厳しい訓練を続けて高いハードルを飛んでその上さらに運に味方されて仕事を得ている。音大のレッスンで一音一音に対する張りつめた緊張感や緻密な表現力が要求された頃を瞬時に思い出した。音楽のスタイルをよく知っていれば、空気感だけでダンサー達と同じ場所に向かって盛り上がり、落ちるべき場所で着地出来るものだと実感する。
急に良いクラシックピアノが聴きたくなり、はじめてカーネギーホールに行った。仕事へ行く途中に当日のラッシュチケットを10ドルで購入、帰り道にピアノ協奏曲を聴いてきた。YouTubeでクラシック音楽を聴くことはよくあるが、コンサートホールで聴いたのは遥か昔。

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ジャズでは普通ピアノにマイクを使うので、PAで増幅した音に馴れた耳があんな大きい空間で生音を聴くことがとても異質に感じられた。しかし曲の終わりには自分の耳がとても繊細になり客席を含めて会場の空気を感じとれるほどになっていた。
すばらしい音楽を生でホールで大勢の観客と一緒に静かに聴くのはとても贅沢な体験だった。



毎週日曜日は相変わらず黒人教会でゴスペル音楽をやっている。耳だけをたよりにグルーブとフィーリングを大切に演奏するのを毎週たのしみにしている。近々、帰り道にイースト・ブルックリンの教会にいるとても有名なオルガン弾きの演奏を聴きに寄りたいと思っている。

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すべての素晴らしい音楽は生きる力が湧いて来る。
中でもジャズは、クラシックの持つ洗練と緻密さ、ゴスペル音楽のグルーブやスピリットがあり、作曲や即興、ほかのミュージシャンとの調和を伴うところが好きだ。

ニューヨークに来るまでは長いこと昼の通訳の仕事と演奏の両方を掛け持ちしていたが、今は昼の仕事をすることはなく1つ1つの音楽の仕事によって自分のあたらしい能力を伸ばすことができてそれで生活が出来る毎日を本当にありがたく思う。気が向けばいつでも世界一の芸術を聴きに行ったり、シットインして一緒に演奏することもできる。

昨年の抱負のひとつに巨匠のジャズを出来るだけ観に行くというのがあった。抱負通りに行動したため、今年の確定申告の経費計算のときに例年よりもジャズクラブに支払った金額が格段に多かった。

今年は、良質のピアノ演奏を出来るだけたくさん聴きに行きたいと思っている。


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ビレッジにあるレストラン「Garage」にてフルートの佐伯真由さんのトリオ
Photography Takehiko Tokiwa